自家栽培高島大納言小豆

餡づくりの昇華をめざして。
辿り着いた答えは、
生まれ育った故郷で、
自ら小豆を育てることでした。

滋賀の湖西地方にある我が故郷・高島は、
寒暖差が大きく、豊富で美しい湧き水と、
肥沃な土に恵まれています。
そんな地の利を最大に活かして栽培された高島大納言小豆は、
薄皮で、たいへん大粒に育つことが特徴です。
この小豆を用いた菓子の核となる餡は
皮が柔らかく口溶けも良く、ほおばった瞬間から
口いっぱい滋味に溢れます。

お菓子づくりの根幹となる餡の基、
菓子職人として納得ゆく小豆とは何かを突き詰めた時、
極めた答えは「自分の手で育てたい」という揺ぎない思いでした。
しかしながら小豆を菓子材料に用いる消費者側から、
自ら小豆づくりに携わる生産者側となって、
一番に感じたのは生産者の皆さんのご苦労でした。
厳しい自然と向き合う農業はつねに天候に左右され、
種を蒔く時期により成長や収穫度合いも大きく変わります。
適格な時期を知るには、
長年の経験を経てはじめて分かる事だと、深く気付かせて頂きました。
また、苦労を重ねて無事に育ったときの大きな感動から、
自然より享受した賜物への感謝や、学ぶことの虚心が芽生えました。

お菓子作りもまさにこれに似て、
ひとつひとつの経験を積み重ねてようやく、
よい菓子を作る技術や感性が養われます。
すべてのものづくりは、日々のひたむきな努力と経験、
これらの機会が与えられてこそ初めて、成り立つものです。
これまでの菓子づくりと、
新たな挑戦として始めた小豆づくりで得た経験は、
素材への深い愛情、もてなしに尽くす誠の心と結実しました。

この貴重な材料の持つ、小豆本来の味を最大限に活かし、
豊かにして謙虚、かつ繊細な味わいがけっして損なわれることの無いよう、
極めて程よい甘さの餡として、仕上げさせていただいております。